「間に合う気がする」は当てにならない——33.9日と答えて、実際は55.5日かかった

勉強法

試験まであと1か月。「このペースなら間に合う」と思ったことがあると思います。その感覚がどれくらい当てにならないかが、はっきり測られています。そして直し方も分かっています。

33.9日と答えて、55.5日かかった

Buehler・Griffin・Ross が1994年に Journal of Personality and Social Psychology に出した研究です。卒業論文を書いている学生に、「いつ提出できると思うか」を答えてもらい、実際の提出日と突き合わせました。

日数
学生の「いちばん正確だと思う」予測33.9日
実際にかかった日数55.5日

自分の予測どおりに終えられたのは、29.7%。3人に1人もいません。

ここまでは「まあ、そうだろう」と思うかもしれません。本題はこの先です。

「最悪の場合」でも、まだ足りない

同じ学生に、「すべてが可能なかぎり悪く進んだら」という前提でも予測してもらいました。つまり、最初から悲観的に見積もらせたわけです。

その答えの平均が 48.6日。実際は55.5日でした。悲観的に見積もってさえ、まだ短い。この見積もりに間に合ったのは48.7%で、やはり半分を切っています。

⚠️ 「余裕をもって見積もる」では直らないということです。論文の言葉でも、悲観的に予測させてもずれは減ったが正確にはならなかったと報告されています。

ただし、予測が無価値なわけではありません

ひとつ、誤解のないように。この研究では、予測と実際の所要日数の相関はかなり高いという結果も出ています。「遅くかかりそうだ」と答えた人は、実際に遅くかかっていました。

つまり、順序は当たっているのに、水準だけがずれている。自分が他人より遅いか速いかは分かるのに、絶対的な日数は systematically 短く出る。だから「感覚を捨てる」のではなく、水準だけを外から補正するのが正しい対処になります。

内側から見るか、外側から見るか

この現象は計画の錯誤と呼ばれ、原因も整理されています。

  • 内側の視点 ——これから自分がやる段取りを頭の中で組み立てる。「ここを2日で、ここを3日で…」。これが楽観の源です。想定していない中断や手戻りは、定義上ここに入りません
  • 外側の視点 ——似た状況が過去に実際どうなったかを見る。自分の過去の記録、他の人の所要時間、といった分布の情報

Kahneman と Tversky が処方として出したのが後者です。要は「今回は特別だ」という感覚を、記録で上書きするということです。

資格勉強に当てはめる

そのまま置き換えられます。

内側の視点(当てにならない)外側の視点(使える)
これから1日20問やるつもりこの7日で実際に解いたのは49問(1日7問)
週末にまとめてやるから大丈夫先週末に実際に解いた数
試験前になれば本気を出す前回の試験前に実際にどうだったか

左は意志の話で、右は記録の話です。間に合うかを知りたいなら、右しか使えません。

必要な量のほうは、実は数えられる

ありがたいことに、必要な量は見積もりではなく数えられます

  • まだ一度も解いていない問題 ——数えるだけ
  • 試験日までに復習の期限が来る問題 ——期限は決まっているので、数えるだけ

この2つを足せば「試験日までにやることになる最小の量」が出ます。あとは残り日数で割れば必要ペース、実測ペースと比べれば間に合うかどうかです。

33日 × 7問 = 231問分。必要なのは537問。306問が未消化のまま本番。 1日17問にすれば間に合う。

掛け算と割り算だけで、どこにも予測が入っていません。

足りないと分かったら、手は2つだけ

  1. ペースを上げる。ただし「がんばる」では上がりません。いつ・どこでやるかを決めるほうが効きます(「続かない」を2つに分ける
  2. 範囲を削る。削る順番は、本番でどれだけ出るかで決めます。模擬試験の章ごとの配分が、そのまま本番の配分です

⚠️ やってはいけないのは、どちらも選ばずに「なんとかなる」と思うことです。それは上の研究がいちばん強く否定している態度です。

このサイトでは

学習状況の「試験日から逆算する」に、試験日までにやることになる問題数と、この7日で実際に解いた数を並べています。

そして当日の点数は出しません。「試験日に何点取れるか」は確かめようがなく、外れたときに画面の他の数字まで信用されなくなるからです。出しているのは、式をそのまま画面に並べて誰でも検算できる数字だけです。

数え方も、少なめに出る側に倒してあります。だから「足りない」と出たときは、確実に足りません。

参考にした研究

  • Buehler, R., Griffin, D., & Ross, M. (1994). Exploring the "planning fallacy": Why people underestimate their task completion times. Journal of Personality and Social Psychology, 67(3), 366–381. 全文(PDF)
  • Kahneman, D., & Tversky, A. (1979). Intuitive prediction: Biases and corrective procedures. TIMS Studies in Management Science, 12, 313–327.(外側の視点・参照クラス予測の出どころ)
  • Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119. 論文情報(KOPS)

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学習状況の「試験日から逆算する」に、試験日までにやることになる問題数と、この7日で実際に解いた数を並べています。当日の点数は出しません。

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